特例子会社で働きたいけど、実際どうなの?
特例子会社の情報が少なくて、困ってる…
特例子会社は、障害者を中心に雇用している企業を指します。
基本的に障害に配慮があり、環境が整っている会社がほとんどです。
しかし、インターネットで検索すると、あまり良いことが書かれていなかったり、悪いの噂を耳にすることもありますよね。
この記事では、特例子会社の実態や実情について、包み隠さず詳しく解説していきます。
本記事は、大手メーカーの特例子会社で15年働くがNaoが執筆しました。
10年間、契約社員として事務作業を行っていましたが、向上心を持ち真面目に働いてきた結果、現在では、リーダーとして部下10名をまとめつつ、採用業務も行っています。
この経験から、特例子会社の実態や実情、特例子会社への転職など、特例子会社にまつわることを企業目線・プロ目線から役立つ情報を提供できればと思っています。
先に結論を言うと、特例子会社のの実情・実態は、障害に理解がない上司がいたり、給料が低く、仕事もつまらない、人間関係に問題があり差別やいじめがあるなど、一般企業に勤めていても起こり得る問題が特例子会社でも起きているのが、実情・実態です。
もちろん、事業所によって異なるので、可能であれば、応募する特例子会社の内部情報を集めたり、可能であれば職場見学をお願いしてみましょう。
働きやすさを求めて、特例子会社に就職・転職を考えているのに、入社してみて働きにくかったら本末転倒です。
特例子会社が厳しい・きついと言われる実情とは…
特例子会社が厳しい・きついと言われる実情は以下の通りです。
それぞれ詳しく解説していきます。
厳しい・きつい実情1:特例子会社でも障害に理解がない上司がいる
特例子会社でも、障害に対して理解がない上司や職員が居ます。
「特例子会社で働いている人なのに、なぜ?」
と思ってしまう方も多いと思いますが、これが実情です。
実際に、こんな口コミもあります。
特例子会社で働いていますが、上司の中にも障害に対して理解がない人もいます。
事前に研修で障害について勉強しているはずなのに、まったく障害のことを理解していません。
たとえば以前に、話もまともに聞いてくれず、切り捨てられた経験があります。
特例子会社だから自分らしく働けると思ったのに残念でなりません。
障害への理解度は、人によって差が出てしまうところもありますし、上司や職員の全員が全員、あなたの障害をきちんと理解しているとは限りません。
人によっては、特定の障害については詳しいけど、それ以外はそこまで知識や理解がない場合もあります。
一般の人よりは障害の理解はあるけど、100%理解できているかと言われるとそうではないのが実情です。
障害への理解は、人によって異なるということを頭の片隅に入れておきましょう。
厳しい・きつい実情2:給料が低くて生活が厳しい
続いて、給料が安くて生活が厳しいという実情があります。
特例子会社で働く人の平均年収は、下記の通りです。
年収 | 割合 |
101~150万円 | 21.6% |
151~200万円 | 33.5% |
201~250万円 | 21.6% |
251~300万円 | 10.8% |
301~350万円 | 7.2% |
351~400万円 | 3.0% |
401~450万円 | 1.2% |
451~500万円 | 1.2% |
500万円以上 | 1.2% |
これを見ると、収300万円の人は一握りで、ほとんどの人が250万円以下という結果になっています。
また、年収のボリュームゾーンは、151~200万円です。
仮に、年収が200万円だとすると月収16万円程度です。
月収16万円でも生活することはできますが、給料が良いとは言えませんよね…。
実際に、こんな口コミがありました。
特例子会社は会社の法定雇用率を満たすためだけの存在だから給料が安いです。
たしかに一般企業よりは障害に配慮されているので働きやすいと感じます。
しかし、正社員で働いているのに毎月15万円程度しかもらえません。
年齢を重ねてお金が必要になってきているので、毎月15万円だと厳しいです。
お金の問題は、根深いので難しいですが、金額的にやっぱり厳しいのが実情です。
特例子会社のお給料事情について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてみてください。
>>特例子会社の給料は低い?生活できない?その理由と対処方法を解説!
厳しい・きつい実情3:障害者同士でいじめがある
障害を持っている方が働く特例子会社でも、人間関係のトラブルはあります。
職員が、障害者の方にいじめや差別する場合もありますが、障害者同士でもそういった問題やトラブルもあります。
同じ障害者なので、そういったトラブルはないと思ってしまいがちですが、それは間違いです。
実際に、下記のような口コミがあります。
特例子会社は障害者同士のいじめが発生することもあります。特例子会社なので同僚も障害者です。
同じ障害者なので障害について理解があると思いきや、障害はその人によって特徴が異なります。
その結果、お互いに相手を理解できず、同僚ともめる光景を見てきました。
特例子会社だからといって、人間関係が良くなるわけではないので気を付けてください。
人間関係のトラブルは、一般企業でもどこでも発生するということを肝に銘じておきましょう。
厳しい・きつい実情4:仕事が単調でつまらない、やりがいがない
特例子会社は、基本的に軽作業を任されます。
軽作業だと障害を持つ人でも作業できる可能性が高いですが、やりがいはあまりありません。
具体的に特例子会社での仕事は下記のようなものです。
- オフィスや工場の清掃
- サポート業務
- メールの仕分け
- 印刷
- 工場製品の組み立て
- データ入力作業
上記のような作業を1日6時間もしているとさすがに飽きてきますし、「この仕事は自分でなくてもできるのではないか」と思ってしまい、仕事にやりがいを感じられなくなります。
特に飽きっぽい人やじっとして作業することが苦手な人は、特例子会社の仕事がつらいと感じやすいです。
厳しい・きつい実情5:必ずしも働きやすい環境とは限らない
特例子会社は、障害者にとって働きやすい環境が整っているため、特例子会社への就職や転職を目指す方は多いです。
必要な配慮を受けることができますし、サポート体制も充実、フレックスタイム制や時差出勤を採用してくれていたり、バリアフリー化していたりと、働きやすい環境が整っていると思い込みがちです。
しかし、その特例子会社が自分にとって働きやすい環境とは限りません。
例えば、身体障害者用の環境になっていても、発達障害向けの環境になっていないこともあります。
そのうえ、企業によって作業環境レベルは異なるので、あまり障害者向けになっていない企業もあります。
特例子会社だからといって絶対に働きやすいとも限らないので注意が必要です。
すべての特例子会社が必ずしも良い職場とは限らないのが実情です。
特例子会社によって特色が異なるので、職場探しの重要なポイントになってきます。
実際のところはどうなの?特例子会社の実態
ここからは、特例子会社の実態を紹介していきます。
特例子会社は設立当初は、どこも柔軟かつきめ細かく支援してくれますが、
社員数が増えるにしたがって構造上の問題があらわになってくる企業が多いです。
これまで私が特例子会社の支援で感じた実態や、経験談を元に紹介していきます。
それぞれ詳しく解説していきます。
特例子会社の実態1:人によっては一般企業より配慮が行き届かない
1つ目の特例子会社の実態は、一般企業よりも配慮が行き届かなくなることです。
会社が大きくなる、障害者の方が増えるにつれ、配慮が次第に行き届きにくくなってしまうことがあります。
なぜなら、上司や指導員、職員の数に比べ、配慮が必要な障害者の方が多くなり、マンパワーが足りなくなってしまうからです。
特例子会社で働く障害者の方は、なにかしらの配慮が必要になる方が多いです。
しかし、その配慮を把握したり、支援したりする人のパワーが足りなくなってしまうと、
配慮が行き届かず、十分な配慮ができなくなってしまったりするのです。
十分な配慮を受けるためには、雇用・人材管理がきちんとされている必要があります。
ただ、きちんと管理ができている特例子会社は限られているのが実態です。
特例子会社の実態2:支援がマニュアル的で臨機応変さに欠ける
2つ目の特例子会社の実態は、支援に臨機応変さがないことです。
特例子会社の規模が大きくなるほど、人材管理は一律で管理されるようになります。
例えば、雇用管理ルールを作り、毎朝体調チェックシートや日報での業務報告を行うことです。
これにより、対面での支援よりもツールや書面を通しての支援になるので、一律で管理しやすくなります。
ただ、こういった書面やツールを用いた支援が増えてくると、日々関わる中で個別支援といっても、社員からの声掛けのタイミングや面談のタイミングなどが全てルール化され、臨機応変さが失われがちになってしまっているのも、特例子会社の特徴です。
具体的によくありがちなのが、問題があってもなくても面談の実施ペースが「〇カ月に1回」と事前にルール化しているケースです。
何でもかんでもルール化し過ぎている特例子会社には注意が必要です。
臨機応変に対応してもらえるのが特例子会社のメリットでもあるのに、全てルールに乗っ取りマニュアル的だと、そのルールに乗っかれない人は排除していく特例子会社もあります。
特例子会社の実態3:仕事内容が限定的で、スキルアップは期待できない
3つ目の特例子会社の実態は、仕事内容が限定的で、スキルアップは期待できないことです。
特例子会社は性質上、配慮を求めて障害が重い方も多く受けられます。
そのため、どんな障害の人でも仕事ができるように作業を分断化しているケースが多いです。
事務職でもスキャニングのみだったり、紙漉きなどを行う企業では、紙の千切りを中心に行う社員がいます。
同じ作業をずっとこなすことが苦手という方には、やや辛い仕事かもしれません。
また、ずっと単純で簡単な同じ作業を行うためスキルアップも期待しにくいです。
仕事量や仕事の幅を広げていくのが、一般企業に比べ難しいです。
特例子会社の実態4:本社(親会社)の意向によって社内の方針が左右される
4つ目の特例子会社の実態は、本社の意向によって社内方針が左右されがちです。
具体的には、特例子会社の支援キャパよりも多くの人を採用し、収拾がつかなくなってしまうパターンです。
採用計画の権限が本社(親会社)にあると、子会社の意向が反映されづらいため、キャパオーバーになってしまうことがあります。
特例子会社は、「親会社が意思決定機関(株主総会等)を支配」しています。
そのため、特例子会社で働いている人が、人を増やしたくない、採用しないと思っても、その権限はないのです。
つまり、採用計画の権限は全て本社の意向次第であるのが実情です。
こうしたトップダウンの構造上の問題が、結果的に特例子会社の臨機応変さを失わせたり、配慮不足の原因を招いていることは否めません。
会社組織である以上、子会社は親会社の意向に従わざるを得ません。。。
特例子会社への就職・転職を考えている方の中には、障害者雇用枠と迷っている方も居るかと思います。
特例子会社と障害者雇用枠の違いやそれぞれのメリット・デメリットを知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
>>障害者雇用枠と特例子会社の違いを徹底解説!働きやすいのはどっち?
ブラックな特例子会社への就職を避ける方法
特例子会社選びに失敗しないためにも、就職・転職する前に、下記のポイントを押さえておきましょう。
それぞれ詳しく解説していきます。
企業の実態を事前に調査する
特例子会社といっても、一般企業と同じで企業によって特色が異なります。
適当に選ぶと自分に合わない職場で働くことになるので、入社までにしっかりと見極めましょう。
求人探し、仕事探しにおいて特に重要な項目は以下の通りです。
- 労働環境
- 給料
- 作業内容
- どの障害の人が働いているか
上記の4つをメインに、ほかにも気になることがある場合は、面接の段階でしっかりと聞いておきましょう。
特例子会社の求人を扱い、内情に詳しいエージェントに頼る
興味がある特例子会社が、自分に合っているのか応募前の段階で把握するのは至難の業です。
なぜなら、求人票やインターネットで調べただけでは、欲しい情報を得られることは難しいからです。
また、ハローワークなどの求人紹介先に聞いても、実情をこと細かに把握していることはほぼないです。
そこでおすすめなのが、特例子会社の求人を扱い、内情に詳しい転職エージェントに頼ることです。
転職エージェントは、求人を出している企業と密に繋がっているため、採用実績や職場の雰囲気、作業環境等、内情に詳しいです。
なぜなら、転職エージェントの人は、求人を出す企業に出向き、職場見学をしたり、人事や上司となる人と面談するからです。
そのため、世間には出回らない内情を知っています。
企業の内情をしっかり把握して、就職・転職先を選んでいきたいなら、転職エージェントを使わない手はないです。
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【まとめ】特例子会社は厳しい・きついってホント?結論、会社次第
特例子会社が厳しい・きついと言われる実情や実態を紹介してきました。
正直、会社によって実情や実態は大きく変わります。
働きやすいと思って働いていても、他の人から見たら働きにくい場合もあるからです。
就職・転職の会社選びは、事前情報や実情などの情報をどれだけ集められるかにかかっています。
特例子会社の実情や内情に詳しい転職エージェントに相談してみてくださいね。