障害者雇用枠で働くのと、特例子会社で働くのってどっちがいいの?
障害者雇用枠と特例子会社の違いやそれぞれのメリット・デメリットが知りたい。
障害者が障害をオープンにして働く場合、障害者雇用枠や特例子会社で働くことを考える方は多いです。
障害者雇用枠で働くのか、特例子会社で働くのか、どちらがよいのか考えた時に、
きちんと違いやそれぞれのメリットやデメリットを把握しておきたいものですよね。
この記事では、障害者雇用枠と特例子会社の違いやメリット・デメリットについて解説していきます。
本記事は、実兄に知的障害を持つアラサー会社員aamiが執筆しました。
大手メーカーにて障害者雇用の採用・教育に5年従事し、延べ100名以上の障害者の採用に携わった経験があります。
この経験から、障害者の採用や転職など、障害者雇用にまつわることを企業目線・プロ目線から役立つ情報を提供できればと思っています。
先に結論を言うと、障害者雇用枠と特例子会社の違いは、一般企業で健常者が多く働く中で一緒に働くか、働いている人の多くが障害者の中で働くかの違いです。
障害者雇用枠は前者で、特例子会社は後者です。
それぞれメリット・デメリットがあるので、一概にどちらが良いとは言えませんが、配慮重視であれば特例子会社がおすすめです。
ただし、特例子会社は、全国に約500事業所しかなく、首都圏に集中しています。
地方を希望しているのであれば、特例子会社への就職・転職は難しいです。
一方で、障害者雇用枠の場合、全国に数百万事業所があるため、勤務地の希望や就職・転職のしやすいです。
障害者雇用枠と特例子会社との違い
障害者雇用枠での就労と特例子会社での就労は、職場に障害者のための施設や設備、支援制度や、そこで働いている障害者の数などの点で大きな違いがあります。
ざっくり説明すると、障害者雇用枠と特例子会社の違いは以下の通りです。
これだけでは、障害者雇用枠と特例子会社の違いがよくわからない方も多いと思うので、
さらに詳しく掘り下げて解説していきます。
障害者雇用枠とは?
障害者雇用枠は、簡単にいうと健常者と混じって配慮を受けながら一般企業で働くことです。
障害者雇用促進法の改正により、一般企業の障害者雇用枠で働く場合でも、合理的配慮を受けやすくなりました。
企業によっては、障害に対する配慮に積極的で、充実した施設や設備、制度を設置しているケースもあります。
しかし、職場には障害のない労働者が多く、障害者に配慮した環境で安心して働けるとは限りません。
上司や周りの人の障害特性に対する理解や配慮を十分になく、仕事上のコミュニケーションで問題を生じることもあります。
障害者雇用枠で働くメリット
障害者雇用枠で働くメリットは、以下の通りです。
それぞれ詳しく解説していきます。
障害者雇用枠のメリット1:お給料など待遇が特例子会社に比べ、良いことが多い
障害者雇用枠は、一般企業で健常者の中に混じって働くことになります。
そのため、お給料や福利厚生は、一般企業の基準となります。
障害を持っているから、健常者の方とは待遇や給料テーブルが別・・・という訳ではありません。
ただ、健常者と比べると昇給や評価などの差が出るため、一般的なお給料よりも給料が低め…となることが多いです。
給料基準や福利厚生が一般枠と同じなのは、嬉しいですよね。
障害者雇用枠のメリット2:配慮を受けつつ、スキルアップや正社員を目指せる
一般企業の障害者雇用枠は、合理的な配慮を受けられることが法律で決まっています。
ただ、どこまで配慮を受けられるかは、会社の判断に任されることが多いです。
全然配慮を受けられない企業もあれば、十分に配慮してもらいながら働ける企業もあります。
また、給料テーブルや福利厚生、制度が健常者と同等なので、
頑張ってスキルアップを図ったり、資格を取ったりすると、半期や1年に1回評価され、昇給が期待できますし、
契約社員やパートの場合、正社員への登用も期待できます。
もちろん企業によって異なりますが、給料アップのためにスキルアップや正社員を目指せるのは嬉しいですよね。
障害者雇用枠のメリット3:全国に事業所がある
障害者雇用促進法により、従業員数の2.3%は障害者を雇用しなくてはいけません。
具体的に言うと、従業員100人の企業では、そのうち2~3人は障害者を雇用しなければいけません。
従業員が100人いる企業は全国に数百万事業所あるため、地方でも仕事があります。
地元で働きたいと考えている方は、障害者雇用枠がおすすめです。
障害者雇用枠で働くデメリット
続いて、障害者雇用枠で働くデメリットを紹介していきます。
それぞれ詳しく解説していきます。
障害者雇用枠のデメリット1:障害への理解不足から、差別やトラブルが発生することがある
先ほども説明したように、障害者雇用枠は一般企業の中で、健常者に混じって働くことになります。
健常者の中には、障害への理解が乏しい人や、障害者を差別、軽視してしまっている人も居るのが実情です。
そのため、配慮を受けられなかったり、差別をされることもしばしば…。
もちろん、健常者の中には障害を理解してくれる人も多いですが、
これまで障害を持っている方と接してきた経験がなく、どう接していいかわからない、配慮だと思ってやっていたことが実は負担になっていた、など認識の差がトラブルを引き起こしていることもあります。
人間関係のトラブルは、障害者と健常者との間だけではなく、どこにでもあるので気にし過ぎない方が良いですよ。
障害者雇用枠のデメリット2:常に障害特性に合った業務があるとは限らない
障害者雇用枠の仕事は、単純で簡単な作業を任せられることが多いですが、
その業務が、自分の障害特性に合っているかはまた別問題です。
業務の中で、「これなら障害者の方でもできそうだ」という業務を切り出し、障害者の方に仕事を振っているため、
その業務が、自分に合う仕事があるとは限りません。
たまたま仕事がない、苦手な業務を行わなければいけないということもあるのは理解しておきましょう。
障害者雇用枠をおすすめする人
障害者雇用枠で働くのがオススメな人は、下記のような人です。
キャリアアップしたい、やりがいのある仕事をしたい、いろいろなことに挑戦していきたいのであれば、障害者雇用枠がオススメです。
特例子会社とは?
特例子会社とは、事業主が障害者雇用のために特別に配慮した子会社です。
特例子会社として認められるには一定の要件を満たす必要があります。
親会社の要件
- 意思決定機関(株主総会等)を支配している
- 子会社の議決権の過半数を有する、など
子会社の要件
- 親会社との人的関係が緊密である
- 親会社から役員が派遣されている
- 雇用される障害者が5人以上で、全従業員に占める割合が20%以上である
- 雇用される障害者に占める重度身体障害者、知的障害者、及び精神障害者の割合が30%以上である
- 障害者の雇用管理を適正に行える
- 障害者のために施設を改善している
- 専任の指導員が配置されている
- その他、障害者の雇用の促進および安定が確実に達成されると認められる
親会社が特例子会社を設置する最大のメリットは、障害者の法定雇用率達成です。
特例子会社で雇用する障害者は、親会社やグループ全体の障害者雇用数に合算できます。
実際、野村総合研究所の調査によれば、特例子会社を設置している親会社の2018年度における障害者雇用率の中央値は2.31%でした。
また、業務、施設、設備の集中による効率化や経費削減、親会社とは異なる制度で経営・雇用管理、企業全体のイメージアップになることなども親会社にとってのメリットです。
特例子会社についてより詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。
>>【障害者の就職先で人気】特例子会社のあれこれを徹底解説!
また、特例子会社の求人を探したい方は、こちらの記事がオススメです。
>>特例子会社の求人の探し方5選!失敗しない求人票の見方とは?
特例子会社で働くメリット
特例子会社で働くメリットは以下の通りです。
それぞれ詳しく解説していきます。
特例子会社のメリット1:職場がバリアフリー化されている
特例子会社として認められるには、障害者に考慮した職場環境を整えなければいけません。
具体的には、実際に業務を遂行する作業場だけでなく、玄関や廊下、トイレ、食堂などです。
特例子会社の施設や設備は、障害者が利用しやすいよう段差をなくし、バリアフリー化されている事業所が多いです。
特例子会社のメリット2:障害特性を考慮した環境で働ける
特例子会社の場合、障害者雇用枠を設けている一般企業よりも緊密に障害者支援機関やハローワークなどと連携しています。
また、特例子会社の業務は障害者のために親会社から切り出されてくる場合が多いので、障害特性に合わない無理な業務は基本的に発生しません。
障害者は、ジョブコーチや手話通訳といった専門家の支援を受けつつ、特性に配慮した環境で適正に合った仕事ができる仕組みになっています。
サポート体制がしっかりしているので、他のスタッフが障害者の抱えるストレスや体調の変化に気づいてくれたり、その日の状態に応じて作業内容を変更したりといったことも可能です。
障害と向き合い、サポートを受けながら、自分のペースで働けますよ。
特例子会社のメリット3:柔軟な働き方が出来る
特例子会社は、障害者の体調が変化しやすいことを理解しています。
そのため、短時間勤務制度やフレックスタイム制度、在宅勤務制度、有給とは別の通院休暇制度など、体調の変化に応じた柔軟な働き方を可能にする制度を備えている事業所が多いです。
障害特性を考慮した業務や支援制度とともに、こうした勤務制度の柔軟性は、障害者の職場定着を後押ししてくれます。
特例子会社のメリット4:障害者同士で助け合える
特例子会社では多くの障害者が働いているため、会社の親睦会やレクリエーションなどで他の障害者と交流する機会を持てます。
さらに、異なる障害を持った人同士で、お互いの障害特性を補い合いながら働けるのも、特例子会社のメリットです。
同じ境遇の仲間と協力しながら働けますよ、
特例子会社への就職・転職を考えている方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
>>特例子会社への就職は難しい?求人数や応募倍率を徹底解説!
特例子会社で働くデメリット
ここまで特例子会社で働くメリットを紹介してわかったと思いますが、
特例子会社は障害者にとって働きやすく、定着できる可能性の高い職場環境を提供してくれます。
一方で、特例子会社にはデメリットもあります。
特例子会社のデメリットは以下の通りです。
それぞれ詳しく解説していきます。
特例子会社のデメリット1:給料が安く、昇給も望めない
特例子会社で働く人の平均年収は、以下の通りです。
年収 | 割合 |
101~150万円 | 21.6% |
151~200万円 | 33.5% |
201~250万円 | 21.6% |
251~300万円 | 10.( |
301~350万円 | 7.2% |
351~400万円 | 3.0% |
401~450万円 | 1.2% |
451~500万円 | 1.2% |
500万円以上 | 1.2% |
上記の表からわかる通り、平均年収が101~250万円と答えた会社が約8割を占めており、全体的にかなり低い水準です。
給料水準が低い原因は、特例子会社であっても、障害者が管理職やリーダー的な役割を担える職場はまだ少なく、キャリアアップの仕組みも整っていないのが原因です。
特例子会社の給料事情について、こちらの記事で詳しく解説しています。
>>特例子会社は給料が低い?生活できない?その理由と対処方法を解説!
特例子会社のデメリット2:スキルアップが難しい
特例子会社で働く障害者が感じている主な問題点に、業務が単純で簡単、特別なスキルを必要としないためスキルアップに繋がらないといったデメリットもあります。
そのため、障害者の作業能力の向上やキャリアパスの整備が課題です。
特例子会社特有の実情や実態もあります。それについては、こちらの記事も参考にしてみてください。
>>特例子会社は厳しい、きつい?実情や実態を徹底解説!良い特例子会社を見抜く方法も紹介!
特例子会社をおすすめする人
特例子会社で働くのがオススメな人は、下記のような人です。
障害と上手く付き合いつつ、働くことに自信がない方は、特例子会社がオススメです。
障害者雇用枠と特例子会社で迷ったら…
特例子会社か一般企業の障害者雇用枠かという2択で悩んでしまっている方も多いですが、
特例子会社でも障害者雇用枠でも、自分に合った事業所や企業でなければ、長く働くことは難しいです。
また、特例子会社は全国に486事業所しかありません。
特例子会社や障害者雇用枠に絞って就職・転職活動をするのではなく、
様々な企業を見つつ、自分に合う企業や仕事を見つけることが大事です。
「自分に合う仕事や働き方、企業がわからない…」
という方は、障害者に特化した転職エージェントに相談してみるのがオススメです。
転職エージェントは、担当のキャリアアドバイザーとの面談を通じて、あなたに合う仕事やあなたの性格や特性など自己分析をサポートしてくれます。
また、客観的なアドバイスもしてくれるため、自分では気付かなかった特性や性格を知ることもできます。
担当のキャリアアドバイザーと話すだけで、自分の思考が整理されることもありますよ。
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【まとめ】障害者雇用枠と特例子会社の違い
障害者雇用枠と特例子会社の違いについて詳しく解説してきました。
特例子会社は、障害の方が働きやすくなるための配慮や環境が整っているところが最大の特徴です。
障害者として働きつつ、キャリアアップやスキルアップを望むなら障害者雇用枠がオススメです。
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