障害者雇用でもクビになることがあるってホント?
会社から辞めさせられそうになったらどうしたらいいの?
障害者雇用でもクビになったり、辞めさせられることはあり得ます。
一般的にクビや辞めさせられる場合は、本人に働く意志があるにも関わらず、退職を余儀なくされるケースを指します。
クビや辞めさせられる人には、理由や共通点があります。
この記事では、クビや辞めさせられる理由と対処方法について詳しく解説していきます。
本記事は、実兄に知的障害を持つアラサー会社員aamiが執筆しました。
大手メーカーにて障害者雇用の採用・教育に5年従事し、延べ100名以上の障害者の採用に携わった経験があります。
この経験から、障害者の採用や転職など、障害者雇用にまつわることを企業目線・プロ目線から役立つ情報を提供できればと思っています。
先に結論を言うと、クビ・辞めさせられた人のほとんどは業績不振が理由です。
しかし、個人の勤務態度でクビ・辞めさせられる可能性はあります。
具体的には、欠勤が続く、業務遂行が困難、コミュニケーションが著しく取れない場合、クビや辞めさせられる可能性があります。
日本は一度雇ったら解雇されにくいと言われますが、度を越えるとクビや辞めさせられることはあり得るので注意が必要です。
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障害者雇用の解雇件数(クビ・辞めさせられた人)は、年間約2,000件
まず、障害者雇用では実際にどれくらいの人がクビになったり、辞めさせられているのか、知りたいですよね。
厚生労働省が公表している「平成30年度 障害者の職業紹介状況等によると、下記の通りでした。
平成30年度には1,980名となり、毎年変動はあるものの、平成28年度以前が1,200~1,500件ほどに対して、
直近は2,000件前後を推移しているため、全体的に障害者の解雇件数は多くなっています。
ここで注意してほしいのは、自己都合で退職した人はこの統計に含まれていないことです。
自己都合で退社した人の中には、本当は「会社都合」だけど、「大げさにしたくない」「会社に迷惑をかけたくない」などといった理由から自己都合退社をしている人も多いです。
そのため、この統計以上にクビや辞めさせられた人は居ることは理解しておいてください。
そうは言っても、年に2,000人がクビや辞めさせられているのは、、、ちょっと他人事ではないですね…。。。
クビや辞めさせられる原因の9割は、業績不振【障害者雇用の場合】
ここではクビや辞めさせられる理由について解説していきます。
厚生労働省が提示している障害者雇用における理由別解雇数は以下の通りです。
クビや辞めさせられた理由のほとんどは事業廃止や事業縮小によるものです。
「クビ」「辞めさせられる」というと、どうしても「能力不足だから」という理由をイメージしがちです。
しかし、そのイメージは間違っており、会社は雇い続けたくても雇い続けられないという状況で、泣く泣く解雇を選択しています。
能力の有無に関わらず、「クビ」や「辞めさせられる」ことってあるんですね…。
逆にいうと、「能力不足だからクビになるかもしれない…」と不安になっている人にとっては、少し安心する結果だったのではないでしょうか。
実際、能力不足を理由にクビや辞めさせられるケースはほとんどありません。
日本は会社都合でクビや解雇させにくいので、よっぽどのことが無い限り、クビや解雇にはなりません。
それは、一般雇用でも障害者雇用でも同じです。
障害者雇用でクビ・辞めさせられる理由
もちろん業績不振以外で「クビ」や「辞めさせられる人」も居ます。
そういった人には、下記のような特徴や「クビ」「解雇」に相当する明確な理由が存在します。
実際に、上記に当てはまるような方がクビになったり、辞めさせられたケースは存在します。
障害者雇用で働いている以上、だれしも起こりうるケースなので、しっかりチェックしておきましょう。
理由1:体調悪化による出勤率低下
理由1つ目は、体調悪化による出勤率低下です。
これは、障害者雇用だからという訳ではなく、一般雇用でも同じです。
会社によって異なりますが、だいたい1年以上休職が続く場合、解雇理由に該当します。
中でも、精神障害者が体調不良に陥るケースは起こりがちで、まずは、体調回復に努めてもらうことが普通です。
そのため、有給休暇を使ったり、休職制度を活用し、体調回復に専念してもらうのが王道の対処方法です。
数日~数週間で体調が安定すれば良いですが、数カ月も体調が安定しない状態が続いてしまうと、余計に会社に行きづらくなり、そのまま退職となる方も多いです。
障害者自身、仕事に誠実で、企業も理解があるのに服飾が叶わないと、やるせなくなりますよね…。
理由2:仕事や人間関係への配慮が限度を超えている
理由2つ目は、「仕事や人間関係への配慮が限度を超えている」ケースです。
障害内容による配慮が必要なのは、企業も理解しています。
また、円滑に業務を遂行してもらうための配慮も企業側は行ってくれます。
しかし、その配慮が限度を超えており、配慮があることが原因で業務を遂行してもらうことが難しい、
会社として、これ以上の配慮が難しい場合は、クビ・辞めさせられる理由となります。
例えば、相性が悪い相手や能力的に与えられた業務が難しい場合、企業側と交渉し、配置転換や業務変更で対処を図ります。
しかし、企業企業が小さく配置転換がそもそも現実的にムジカしい、人員の替えが利かない…といった場合は、配慮を得るのが難しくなります。
いくら合理的配慮といえど、企業のリソースをはるかに超えた配慮を求めることはできません。
また、企業側が配慮しきれず、日常業務にまで支障を及ぼす事態にまで発展していれば、会社都合の解雇になる可能性は高いです。
配慮を求める際には、企業側の都合も考慮した交渉が必要です。
理由3:業務上のルールを守る意思がない
3つ目は、「業務上のルールを守る意思がない」ケースです。
「業務上のルール」と言われると、仕事をマニュアル通りにやらない、休憩時間を無視し休憩したり、与えられた仕事をやらない、といったことを連想すると思います。
こんな人居るの?と不思議にに思う方も多いかもしれませんが、実際はゼロではありません。
しかし、ほとんどの障害者は「障害によってできない業務」を持っているのに対し、企業側が「さすがにこれくらいやってもらわないと困る」という意見の食い違いによるものがあります。
このパターンは、相互の歩み寄りが不足しているために起こりがちですが、なかなか相互理解が進まず、話し合いが一向に進まない場合も多いです。
こういった状態が続くと、企業側は「決められた業務を遂行できない」と判断し、「業務遂行義務違反」としてクビや辞めさせられることになります。
会社は組織なので、一定のルールがあるのは当たり前です。
なんでもそうですが、ルールを守れないと退場になってしまうのは、ある意味仕方ないことです。
理由4:コミュニケーションが著しく取れない
4つ目は、「コミュニケーションが著しく取れない」です。
コミュニケーションが取れないと聞くと、言語的な問題をイメージしがちですが、ここでのコミュニケーションは主に業務上の報連相を指しています。
具体的にには、障害者本人はわかったつもりになっており、企業担当者が指示した内容とニュアンスを取り間違えて、仕事のミスに繋がるといったものです。
障害と直接リンクしたミスであれば、「障害だから仕方ない」と割り切れますが、そうでなくミスが続く場合、企業担当者側にフラストレーションが溜まっていきます。
様々な配慮を行っているにも関わらず、改善の余地が見られない場合、業務遂行義務を果たしていないと判断され、クビや辞めさせられてしまう可能性があります。
要因は、コミュニケーション不足によるものですが、この問題を解決するのは、なかなか難しいです…。。。
会社都合での退職よりも、自己都合での退職がはるかに多いです。
自己都合で退職する人の退職理由を知りたい方は、こちらの記事を参考にしてみてください。
>>【障害者雇用】退職・転職理由は、ズバリ○○!退職したいと思ったらやるべき4ステップ
障害者雇用でクビ・辞めさせられないための対処方法
障害者雇用でクビ・辞めさせられない方法は下記の通りです。
どれも、まずは自身の障害を理解することから始まります。
自身の障害を理解できていなければ、何かあっても対処できませんし、他の人が自分以上に自分を理解してくれることはありません。
自身の障害を理解することで、上記の対処方法が自ずと見えてきます。
自身の障害を理解することができたら、障害についてまとめた書類を1つ作成しておくと、企業への伝え漏れや希望する配慮を具体的に伝えることができるので、おすすめです。
障害についてまとめた書類については、こちらの記事を参考にしてみてください。
>>【障害者雇用】「私の障害について(障害に関する自己紹介シート)」の書き方!上手に書くコツと上手な伝え方
対処方法1:積極的に配慮点をすり合わせる
障害者雇用は、配慮ありきの雇用の枠組身です。
自分の身体に無理なく働き続けられることが魅力ですが、そのためには自分から具体的な配慮点を申し出る必要があります。
企業は、支援機関ではないので、人によって異なる障害内容や程度など全てを理解・把握できません。
そのため、自分から入社前や採用後に配慮点を具体化しなければ、適した配慮を受けるのは難しいです。
積極的に配慮点を伝える姿勢を続けられると、モチベーション低下や体調不調での入院といった事態を防ぐことができますし、
継続的に会社側とコミュニケーションを取ることができるため、相互の理解を深めることができ、結果的にクビや辞めさせられるリスクを減らすことができます。
配慮は、企業も言われないとわからない…という部分も大きいのです。
こういった企業側とのコミュニケーションの場を作るのは、とても大事なことです。
対処方法2:体調悪化時のサインや対処方法を整理する
人によって異なりますが、体調不良時のサインが他の人から見てわかりづらい人は多いです。
特に、主障害が知的障害や発達障害など、不調=体調悪化と結びにくい障害の場合、余計体調不良の発見が遅れがちになります。
体調が悪化するとどのようなサインが出るのか、どんな対処方法が必要なのかを自分自身で把握しておくようにしておきましょう。
主治医からもアドバイスをもらっておくのも良いです。
自分で体調不良時のサインが自覚できない場合は、事前に会社側にその旨と対処方法を伝えておくのもオススメです。
対処方法3:「できること」「できないことを明確にする
障害者雇用は、何かしらの配慮を受けつつ働ける働き方ですが、障害によってできないことが多すぎたり、「障害のせい」という態度が前面に出ていると、企業側も仕事を振りづらくなります。
あまりに、明らかな場合を除き、できること、できないことの判断は、やってみてから判断しましょう。
企業側は、「障害によってできないこと」は配慮してくれるケースが多いですし、それが合理的配慮になります。
しかし、単純に「苦手だからやらない」という姿勢は配慮されづらく、好まれません。
「好き嫌いで判断している」と捉えられないよう、新しい業務は一度やってみて、できるできないを判断させてもらえるように企業側に伝えるのもアリです。
入社前に、できること・できないことを明確に伝えられると、入社後のミスマッチに繋がりにくくなるので、おすすめです。
対処方法4:支援機関を活用する
クビや辞めさせられないためには、支援機関を上手く活用するのも手です。
支援機関を活用するメリットは、企業との間に介入してくれて、環境調整を図ってもらえる点です。
また、配慮点を会社に伝える際も、第三者の客観的意見として伝えてくれます。
それにより、お互いの誤解を解きほぐす効果が生まれ、障害者と企業間のコミュニケーションが生まれるきっかけづくりを行うことができます。
支援機関は、就業前、就業後を問わず活用できますので、気になる方は利用してみてはいかがでしょうか。
代表的な支援機関は以下の通りです。
就職前に活用できる支援機関
・就労移行支援事業所
・ハローワーク
就職後に活用できる支援機関
・障害者就業・生活支援センター
・障害者職業センター
クビ・辞めさせられるリスクは低いため、ミスマッチのない企業に就職するほうが大事
クビ・辞めさせられないかを心配するのは、正直心配損かもしれません。
なぜなら、会社都合での退社よりも自己都合での退社の方が、圧倒的に多いからです。
「勤怠や体調が不安定になって働き続けるのが困難になった」「社風や業務内容に合わないと感じる」など、いわゆるミスマッチによる自己都合での退社が多いのが現状です。
安心して働き続けたいのであれば、クビや辞めさせられる心配よりも、ミスマッチのない就職を重視する必要があります。
ミスマッチのない就職をするためには、障害のことや、必要な配慮など、自分のことを正しく理解することが大事です。
自分のことを正しく理解し、それを企業側に正直に伝えることが、ミスマッチ防止に繋がります。
ただ、やっぱり自分一人で就職・転職活動をしていても、「この会社、自分に合うかな?」「この業務、私できるかな?」など不安なことってたくさんありますよね。
そういった不安がある方は、エージェントに相談するのがオススメです。
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【まとめ】障害者雇用でクビや辞めさせられることってあるの?
障害者雇用でも、クビや辞めさせられることはあります。
障害者雇用であってもなくても、会社を辞めさせられるのは不本意なことですよね。
とはいっても、このご時世ではだれしも急な解雇のリスクはゼロではありません。
他人事と思わずに、打てる手だては売っておきましょう。