「私の障害について」ってどう書いたらいいの?
書く際のポイントはある?
「わたしの障害について」は、障害を説明する書類で、履歴書や職務経歴書とあわせて企業に提出する書類です。
この書類は、あなたの障害を企業側が理解し、配慮事項を把握するためのものです。
そのため、この書類次第で、あなたが安心して働ける環境が企業側にあるかどうか確認するための書類であり、双方にとって重要な書類です。
この記事では、元障害者雇用採用担当の私が印象の良い「私の障害について」を作成する方法やポイントを解説していきます。
自己PR、志望動機と同じくらい「私の障害について」は採用や選考にあたって重要な書類です。
しっかりポイントを押さえて、企業に良い印象を与えられたら、採用にグッと近づきますよ。
本記事は、実兄に知的障害を持つアラサー会社員aamiが執筆しました。
大手メーカーにて障害者雇用の採用・教育に5年従事し、延べ100名以上の障害者の採用に携わった経験があります。
この経験から、障害者の採用や転職など、障害者雇用にまつわることを企業目線・プロ目線から役立つ情報を提供できればと思っています。
結論を言うと、「私の障害について(障害に関する自己紹介シート)」は必須の応募書類でないことが多いですが、可能であれば企業に提出したほうが良いです。
なぜなら、あなたの障害への理解を深めてくれますし、認識の違いなどが起こりにくくなるからです。
障害については、面接でも必ず聞かれることです。
ただ、ここを怠ってしまうと、内定が出ない、内定がでたとしても入社後に苦労する・・・なんてことになり、メリットがありません。
しかし、いきなり「私の障害について(障害に関する自己紹介シート)」を書こうと思ってもなかなか難しいです。
その場合は、障害者の転職に特化している転職エージェントに相談しましょう。
転職エージェントなら、添削やアドバイスだけでなく、応募企業に口頭やメールで障害について補足説明をしてくれたりするので、あなたの強い味方になります。
「私の障害について」とは
「私の障害について」とは、自分の障害に関する情報をA4用紙1枚程度にまとめた書類のことです。
企業によって言い方は様々ですが、応募先の企業に提出する自己紹介シートのことを指しています。
正式な名称があるわけではなく、一般的に「わたしの障害について」や「障害に関する自己紹介シート」などと呼ばれることが多いです。
求人に応募する際の提出は必須ではありません。
しかし、企業に希望する配慮事項がある場合や、エージェントを利用せずに企業に直接応募する場合には、提出をオススメします。
なぜなら、採用担当者にとって、「応募者がどのような障害を持っており、企業側はどんな環境を提供するべきか」ということを重要視するからです。
採用担当は、応募者に必要な配慮を企業側ができるのか、というところに焦点を当てて確認しています。
「私の障害について」を作成するメリット
「私の障害について」を作成するメリットは、応募者(求職者)と企業側両方にメリットがあるので、それぞれ紹介していきます。
応募者(求職者)のメリット
応募者(求職者)のメリットは、下記の4つです。
企業側のメリット
続いて、企業側のメリットは下記の通りです。
「私の障害について」を作成し、履歴書・職務経歴書と一緒に企業に提出することで、その後の選考がスムーズに進みますよ。
【「私の障害について」を作成する前に】まずは、自分の障害特性を整理しよう
そもそも「自分の障害特性がわからない」という方向けに、障害特性について整理する方法を解説していきます。
障害の特性とは、障害の特徴のことです。
企業側は、入社者に合理的配慮を行う責務があるので、「障害の関係で、その人が苦手としていること」を特に気にします。
そのため、まずは、自分自身が自身の障害特性をきちんと把握する必要があるのです。
下記の4ステップで考えていくと、あなたの障害特性を整理することができますよ。
STEP1:業務上の「苦手なこと」を振り返る
まずは、これまで仕事上で苦手と感じたことやミスをしてしまったこと、人から指摘を受けたことを洗い出しましょう。
【例】
- 代表電話の対応をしているとき、取り次ぎ先がわからず混乱した
- 業務の締切が早まってしまったとき、何から進めればいいかわからず、手が止まってしまった
・・・(上記を言い換えると)対応できずにミスをしてしまう、手が止まってしまう等
- 自分の業務をしながら電話対応をすることができない
- 急に声を掛けられて新しい業務や差し込み業務を任されると混乱する
・・・(上記を言い換えると)もともとやっていた業務を忘れてしまう等
これまでにミスしてしまったことや、人から指摘を受けたことを中心に振り返ると、「苦手なこと」が洗い出せますよ。
STEP2:「苦手なこと」の共通点をまとめる
苦手なことを洗い出せたら、それらの共通点をまとめます。
「どんな状況でそれが現れるか」という視点で考えると、まとめやすくなりますよ。
【例】
- 対応できずにミスしてしまう、手が止まってしまう
・・・(上記をまとめると)「臨機応変な対応が苦手」
- もともとやっていた業務を忘れてしまう
・・・(上記をまとめると)「同時進行・優先順位付けが苦手」
苦手なことが具体的にわかってきましたね。
STEP3:「苦手なこと」をどうやって工夫して業務を行ったかを書きだ出す
これらの苦手なことに対し、苦手なことをカバーするために自分で工夫して行っていたことを書き出していきましょう。
【例】
- 電話対応の時、何を聞けばいいのかわからず、手が止まってしまう
→「会社名」「電話番号」「宛先」「要件」「折り返しの有無」など、聞かなければいけないポイントをまとめたメモを用意する
- 新しい業務を急に振られたとき、何からやったら良いかわからない
→指示者に締切を確認し、タスクを書き出して優先順位付けをし、順番に取り組む
苦手なことを自分でカバーできる範囲を把握しましょう。
苦手だったけど、こうすればマシになった、問題なくなった、ということを書ければOKです。
STEP4:「苦手なこと」を自己対処でカバーできないことを整理する
最後に、苦手なことをカバーしようとどんなに頑張ってもカバーしきれなかったり、改善が難しかったことを整理します。
これが、「会社に希望する配慮事項」になります。
【例】
電話応対の際、メモの取り方を工夫することで聞き取りミスは減ったが、電話の頻度が多すぎると他の業務との同時進行ができなくなる
上記のような場合、下記のような配慮事項が考えられます。
【配慮事項】
「電話応対が多い部署の場合は、対応範囲を相談したい」
「電話応対は内線の取り次ぎのみに制限してほしい」
このように、苦手で自分ではカバーしきれない業務を制限してもらったり、相談の機会を設けてもらうなど、企業側に配慮事項として伝えましょう。
「私の障害について」を作成する方法!記載することは、主に3つ!
「私の障害について」記載することは、大きく「障害の概要」「特性と自己対処」「配慮事項」の3点です。
ここから、この3つに対して、どのように記載したら良いか、例を出しながら書き方を紹介していきます。
障害概要
障害概要は、その名の通り障害の概要を記載します。
いわゆる、障害のダイジェストみたいな部分なので、書類の冒頭に記載しましょう。
【書き方の例】
■障害概要
診断名:ASD(自閉症スペクトラム)
手帳:精神保健福祉手帳 3級
通院/服薬:月1回(曜日不定)/朝晩各1回
就業許可:有
あくまで概要なので、ここは簡潔に書きましょう。
通院は勤務形態などに関係するので、曜日や頻度も書くと良いです。
特性と自己対処
次に、障害特性を記載します。
相手が理解しやすいよう、2~3つにまとめるとよいです。
また、「自己対処」を書くことで、「どこまでが自助努力で対応でき、どこから配慮が必要なのか」のラインが明確に伝わります。
自己対処を書くことで、自分で創意工夫しながら対応できている姿勢のアピールにもなりますよ。
【書き方の例】
■特性/自己対処
私は、以下のような特性がございますが、それぞれの特性に対し、自助努力を継続することで業務を遂行しております。
特性1:短納期作業(入力業務など)を急いで行う際にケアレスミスが起きやすい
自己対処:ミスをしやすい箇所をリスト化し、納品物の提出前に確認の時間を設ける
特性2:過集中の傾向がある
自己対処:適度に小休憩を取ることを意識することで過集中になることを防ぎ、それに伴う疲労・集中力低下の予防を行う
特性3:マルチタスクが苦手
自己対処:作業開始前に優先順位を決める事、各作業を時間単位で区切るなどでマルチタスクに対応する
ここは厳密な記載ルールはなく、必ず自己対処を記載しないといけないというわけではないので、もし自己対処できていないことがあれば、記載しなくてOKです。
配慮事項
配慮事項は「どんな場合に必要な配慮なのか」をわかるようになるべく具体的に記載しましょう。
【書き方の例】
■ご配慮いただきたいこと
自身の特性に対して前述のような自己対処を行っていますが、自己対処のみでは厳しい下記に対して、ご配慮いただきたく存じます。
配慮1:通院配慮
月に1度通院のためのお休みをいただけますと幸いです。
配慮2:過度な残業
残業は月に約10時間以内を希望いたします。
配慮3:相談環境
業務で悩む場合など相談しやすい環境があると、スムーズな業務対応ができます。
こちらは要望になるので、「していただけますと幸いです」「~を希望します」「~していただくと~できます」などの表現を使うと、押しつけがましくなく、丁寧な印象が伝わりますよ。
障害者雇用で重要な配慮事項の伝え方
「私の障害について」の作成方法を解説してきましたが、
1番重要なのは、配慮事項をどう伝えるかです。
実際、配慮事項をどう記入したらいいのか悩んでいる人も多いので、
それぞれに配慮に応じた配慮事項の書き方を紹介していきます。
時短・時差出勤
まず、時短・時差出勤を配慮事項として希望する場合です。
次のポイントを意識で配慮を伝えるのがコツです。
- 時短勤務や時差通勤を希望する理由
- 時短勤務や時差通勤をいつまで継続するか
これらを具体的に記入することで、企業側からの理解を得やすいですし、業務調整をしてくれる場合が多いです。
具体的には、下記のように書くと良いです。
【書き方の例】
「体調を安定させて長く働きたいと考えているため、まずは4時間の勤務からスタートして新しい環境に慣れていきたいと考えております」
「満員電車で発作を起こして出社できなくなるのをさけるため、ピークを外した時差通勤を希望します」
こういった形で、配慮を求めることが自分のためだけでなく、結果として企業側のメリットに繋がるような伝え方ができきるとより良いです。
集中できる席・パーテーション
周囲の気配が気になってしまい、集中できないという人は、席に関する配慮を求めることになります。
例えば、視界に人が入らない壁側の席や、人の行き来が少ない席への配慮、もしくはデスクにパーテーションが欲しいというような配慮です。
この場合、配慮事項には以下のように書くと良いでしょう。
【書き方の例】
「周囲の環境が気になってしまい集中できなくなってしまう特性があるので、業務に集中して取り組むために卓上の簡易的なパーテーションを設置していただけますと幸いです。」
「周囲の環境が気になってしまい集中できないくなってしまう特性があるため、壁際もしくは人の行き来が少ない席を希望いたします。」
どんなパーテーションが良いのか企業側はイメージが付きにくいので、設置イメージの画像を資料として提出してみましょう。
そうすることで、企業側も具体的にどんなパーテーションならOKか把握してくれます。
イヤホン・音楽を聴く
「人に話し声が自分に向けられている気がする」、「大きな声や物音に恐怖を覚える」など、音に関する配慮を求めることになります。
その場合、イヤフォンや音楽を聴きながらの業務を許可してもらう配慮です。
このような場合、配慮事項にか以下のように書くと良いでしょう。
【書き方の例】
周囲の物音に敏感なため気が散りやすい特性がありますが、イヤホンの使用や音楽を聴くことで集中して業務にあたることができます。
イヤホンを着用する際は、業務に支障が出ないよう必要な音が聞き取れる程度の音量に調整します。
具体的な使い方を説明できれば、企業側もイメージを掴みやすくなりますよ。
電話対応の免除
事務職を志望する人に多いのが、電話応対の問題です。
いつ誰からかかってくるかわからない電話に苦手意識を感じる人も多いです。
そのため、電話応対を配慮事項として記載したい方は、以下のように書くと印象が悪くならずに、伝える事ができます。
【書き方の例】
電話応対は、緊張からパニックになってしまい、お客様へ不適切な対応をしてしまう恐れがあるため、取次や内線のみとさせていただけますでしょうか?
通院
定期的な通院やカウンセリングがどうしても勤務時間と重なり、休暇や遅刻・早退する必要がある場合も配慮を求めることになります。
企業側から「土日など、会社の休日にズラすことはできなませんか?」などと言われることもあります。
もし、休日に通院やカウンセリングをズラすことができないのであれば、以下のように伝えてみましょう。
【書き方の例】
主治医が決まっており、曜日の変更が困難なため通院日は遅刻または早退とさせていただければ幸いです。
なお、通院時に次回の予約をするため、〇週間前には日程をお伝えできます。
早めにスケジュールをはっきりさせることで、企業側もシフトを調整しやすくなります。
業務量
業務量について考慮することは、多い・少ないだけの問題に限らず多岐に渡ります。
例えば、短時間で済む業務ばかり与えられると次の指示までに待ち時間ができてしまい、待っている間辛い気持ちになってしまう、
逆に、先を見通しづらい人が、ボリュームのある仕事を受けると「いつまで同じ作業を続ければいいの?」と落ち込みの原因にもなります。
また、一度に複数の仕事を抱えると、優先順位を付けられなくなる人も居ます。
その人にとって適切な業務量は、周囲の人からはわかりにくいものです。
配慮事項として伝えるのはもちろん、普段からこまめに上司や同僚と話しておくことが大事になります。
最印象が悪くならないように配慮事項にも記載する必要があるため、以下のように書いてみてはいかがでしょうか。
【書き方の例】
○○の訓練を1日4時間、週5日実施しておりましたので、○○の業務は行えます。
他の業務については、手順を確認しつつ習得していきたいと考えております。
ミスが無いよう丁寧に業務に励みたいため、最初や不調の時は量を少な目に調整していただけますと幸いです。
ゆくゆくは、業務量を少しずつ増やしていきたいと考えております。
上記は、業務量を減らしてほしい場合です。
このように伝えると、仕事に対する考え方や先の見通しもわかりやすいです。
指示の仕方
業務量に関連して、指示の仕方についても考慮事項として伝えるのも良いです。
一度に複数の指示を受けると、優先順位が付けられなかったり、パニックになってしまう方の中には、「こんな風に伝えてくれると理解しやすい、仕事を進めやすい」というポイントを自分自身で把握しておくと、指示する側も安心です。
【書き方の例】
聴覚情報のみで理解して行動するのが苦手なため、メモを取り確認しながら指示を聞けるよう、ゆっくり話していただけますと幸いです。
また、口頭よりも文字での情報の方が理解しやすいので、メールやチャットで指示頂けると助かります。
メールやチャットであれば指示の聞き洩らし防止にもなり、業務に支障をきたすリスクを軽減することができます。
「私の障害について」よくある質問
続いて、「私の障害について」の作成時に良くある質問も合わせて記載しておきます。
うつ症状などの二次障害は、書いた方が良い?
現在も服薬・通院・必要配慮があれば、その内容を書きましょう。
【書き方の例】
発達障害を起因する二次障害として、〇〇年に双極性障害の診断を受けました。
現在は2~3カ月に1回の通院と1日1回の服薬がございます。
現在は、寛解したものの、過去に二次障害が見られた場合は、下記のように補足しておくと安心です。
【書き方の例】
二次障害として○○年頃にうつ症状が見られました。
療養により寛解し、現在は症状はなく安定しております。
業務に支障をきたすレベルではないものの、転職先に伝えておかないと不安なことはどうしたらいい?
「補足事項」などの欄を設け、下記のように記載すると良いです。
【書き方の例】
- 特別な配慮は必要ありませんが、障害の特性として、人の目を見て話すことが苦手な傾向がありますので、何卒ご理解いただけると幸いです。
- 特別な配慮は必要ありませんが、障害の特性として、雑談やフリートークをすることが苦手な傾向がありますので、ご理解いただきたく存じます。等
【まとめ】「私の障害について」の書き方
この記事では、「私の障害について(自己紹介シート)」の作成方法、書き方について解説してきました。
転職エージェントを通さず、直接応募やハローワークから応募する場合は、「私の障害について(自己紹介シート)」も履歴書・職務経歴書と一緒に提出しましょう。
もし、一人では書けない、とりあえず書いてみたけどこれでいいのかわからない、など不安や心配がある方は、転職エージェントに登録し、初回面談が終わると、書類の添削もしてもらえます。
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また、dodaチャレンジの口コミは、こちらの記事にまとめています。
また、履歴書の書き方や自己PRの書き方などの解説は、こちらの記事を参考にしてみてください。